不動産を買った方が有利なの? ~ 相続税評価の水準

相続税財産評価 = 地価公示価格水準 × 80パーセント で評価されます。

相談者M木氏
「センセイ、相続対策でアパート買うたってよう聞くけど、預金や株で持っとくより、アパート買うた方が得なん?」

税理士O
「そうですね、金融資産を不動産に替えれば、相続税を申告する際の価値(評価額)自体は確実に下がります。
例えば次のように減額されます。」


① 1,000万円の宅地(更地)を購入した ☞ 評価額 800万円
(相続税の土地の評価水準が、地価公示価格水準の80パーセントとされているため)
② ①の土地の上に賃貸住宅を建てた ☞ 評価額 680万円
(貸家建付地=かしやたてつけち=賃貸用の建物の底地としての評価減=15パーセントの減額)
※ 減額割合は地域によって変化します。


相談者M木氏
「宅地の評価水準を公示地価の80パーセントにしとるんはなんでなん?公示地価水準そのままの方がようけ税金取れるのに。」

税理士O
「評価の安全性というやつです。相続税の路線価は誰でも計算し易いように、年分ごとに発表されてその年分の間は一定額です。
ところが、実際の土地の時価は刻々変動するものですから、路線価が時価を超えないように余裕を持たせているのです。」

相談者M木氏
「なるほど。だいぶん下がるんやねえ。家の方もさがるんな?」

税理士O
「ええ、下がりますよ。こんな感じです~」


① 5,000万円の家屋を購入した ☞ 評価額 3,500万円
( 相続税評価額=固定資産税評価額 × 1.0倍 )
② ①の家屋を賃貸住宅として貸した ☞ 評価額 2,450万円
( 貸家の評価減=30パーセントの評価減 )


相談者M木氏
「うわ!半分ぐらいになっとる!
この①の1,500万円下がっとるんはなんでなん?」

税理士O
「それは市役所の固定資産税の評価水準が、建築価格の概ね7割になるように設定されているからです。
概ねですので、場合によってはもっと下がるかも知れません。」

相談者M木氏
「この事例からいけば、6,000万円のお金を不動産に替えたら、2,450万円になるということか~。
だいたい6割の減額か、この差は大きいのう。」

税理士O
「そうですね。しかし、大幅に減額になるからといって安易な不動産購入は禁物ですよ。
維持管理にはお金がかかりますし、ずっと借りてくれる保証もありません。
すぐにお金には替えられませんし、土地の値段自体が下がるリスクもあります。
こういったリスクを踏まえて、よくよくご検討されることをお勧めします。」

相談者M木氏
「よくわかりました。ありがとうございました。」