農地(田畑)相続税評価上区分についてまとめ 

この記事では、農地の相続税評価額を求める際の評価の区分と評価のしかたについて確認できます。

tanbo

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農地の相続税評価上の分類は4種類

相続税評価上の農地の分類は4種です。

1純農地

2中間農地

3市街地周辺農地

4市街地農地

この分類の名称は、財産評価通達上の農地分類の名称であり、他の法令等(農地法、都市計画法など)には上の4種類の名称の表記はされていません。

根拠法令との関係は下の3の表のとおりです。

農地の相続税評価方法は大きく2種類

農地の評価方法は大きくつぎのふたつに分類できます。

◎農地としての評価額を基準として評価する農地
(1純農地 2中間農地)

1純農地と2中間農地は評価対象の農地の固定資産税評価額を基準とした倍率方式による評価を行ないます。

(評価対象農地の固定資産税評価額)×(評価倍率)=(相続税評価額)

一般の農地の固定資産税評価額の評価

あくまでも香川県内の市町村における目安としてですが、田は120円/㎡、畑は80円/㎡程度の評価が付されています。 

具体的には次の項目について、標準的な農地の評価額を算出して決定するという建前になっています。

田であれば、日照の状況、田面の乾湿、面積、耕うんの難易、災害

畑であれば、日照の状況、農地の傾斜、保水・排水の良否、面積、耕うんの難易、災害 

つまり、農地として好条件にある作物のたくさん採れる、農業の収益性に着目した評価額ということが分かります。

ところで「一般の農地」ってどんな農地のこと?

・耕作目的の土地(純然たる農地)

・「他の地目への転用許可が済んでいる農地」や「転用することが確実とみられる農地」以外の農地

◎宅地並みの評価額を基準として評価する農地
(3市街地周辺農地 4市街地農地)

3市街地周辺農地と4市街地農地については、評価対象の農地の固定資産税評価額を用いずに、評価対象地が仮に宅地とした場合の「宅地並評価額」を基準とした評価を行います。

具体的には、評価対象地が宅地の場合の評価額から、造成費相当額を減額して評価を行ないます。

市街地周辺農地の評価方法

〔(宅地並み評価額㎡単価)-(造成費㎡単価)〕×(地積)×(0.8)=(3市街地周辺農地の評価額)

市街地農地の評価方法

〔(宅地並み評価額㎡単価)-(造成費㎡単価)〕×(地積)=(4市街地農地の評価額)

(ポイント)市街地周辺農地の評価上、0.8が乗じるのは、宅地転用の許可が必要であるためとされています。

(ポイント)宅地並み評価額よりも造成費の方が高額だった場合の評価
→ 「宅地への転用が見込めない市街地山林の評価方法」に準じて、その価額は「純農地の価額に比準して評価」することとなります。

事例はこちら☞ 市街地周辺農地および市街地農地の評価 造成費が多額となる場合の評価事例

農地の分類 それぞれの農地の範囲はどこまでか確認

評価方式評価上の分類農地の区分根拠法令
倍率方式純農地農用地区域内にある農地農業振興地域の整備に関する法律
倍率方式純農地甲種農地農地法第4条⑥一ロの農地のうち市街化調整区域内
倍率方式純農地第1種農地農地法第4条⑥一ロの農地のうち甲種農地以外の農地
倍率方式中間農地第2種農地農地法第4条⑥一イ・ロ以外の農地
宅地比準方式市街地周辺農地第3種農地農地法第4条⑥一イ(1)の農地
宅地比準方式市街地周辺農地用途地域内の農地
※都市計画法上「非線引き」(市街化区域・市街化調整区域の指定がない都市)
都市計画法
宅地比準方式市街地農地転用許可済農地農地法第4条
宅地比準方式市街地農地市街化区域内の農地都市計画法第7条①の市街化区域内の農地

農地かどうかの判断はどうしたらいいの?

農地は耕作の目的に供される土地をいいます。

客観的な事実状態(つまり”見た目”)で判定します。

◎登記簿上の地目とは関係がありません。

・登記簿上の地目が田となっていても、実際は近隣の宅地と同じ高さまで造成されているような場合には農地ではない。

◎土地の持ち主の主観的な意思には関係がありません。

・所有者の思い入れや思い込みではなく、第三者の客観的な目線で判定される。

◎一時的な使用状況により判定するものではありません。

・分譲された宅地で「家庭菜園」をしていても農地ではない。

・労力不足などで、休耕していても耕作しようとすればできる土地は農地である。


記事の内容は更新日現在の法令にもとづいて作成しています。実際の申告書作成等にあたっての、特例適用などにつきましてはご確認、ご検討をお願いいたします。