2500万円貰っても贈与税零円! ~相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは?
贈与した人が亡くなった時の財産にのっける約束で、今いっぺんに2,500万円の財産を貰っても贈与税は零という制度です。

相談者I原氏
「センセイ~子供や孫に財産を贈与する時に、精算課税を使うたほうがええかどうか、どう判断したらええか。
その辺のヒントを教えてくれんの~?」

税理士O田
「はい、贈与税は基本的には年間110万円以上の財産を貰った人に課税される税金です。
これを暦年課税と言います。
相続時精算課税は、財産を貰った人の選択により受けられるもので、お父さん、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんからの贈与について選択できるものです。
名前のとおり、財産をあげた人が亡くなった時の財産に、この制度を使って贈与した財産をのっけて相続税の課税対象にしましょうという制度です。
この制度のポイントとしては、下のような事が言えます。」


〇 一度選択すると、その贈与してくれる人からの贈与については、暦年課税に戻すことはできない


税理士O田
「例えば、2021年にお父さんから2,000万円の土地の贈与を受けて、相続時精算課税を選択して申告しました。
2022年はお父さんから100万円の現金贈与を受ます。といった場合申告はどうしなければならないでしょうか?」

相談者I原氏
「110万円以下だから、申告しなくても良い?じゃないんですよね?」

税理士O田
「そうなんです。精算課税を一度選択したが最後、お父さんからの贈与については、暦年課税の110万円の基礎控除は使えません。
ですので、2022年は100万円貰いましたという申告をすることになります。
2,500万円の控除の枠の内2,000万円は2021年に使っていますから、更に100万円使って残りの控除の枠は400万円。
この枠を超えてしまうと、一律20パーセントの贈与税がかかります。」

相談者I原氏
「なるほど。これって ”その人からの贈与” だから、例えばお母さんからの贈与では精算課税を選択して、
お父さんからの贈与は暦年課税の110万円を受けることはできるんですね?」

税理士O田
「そうです。その辺をうまく使い分けると良いと思います。他のポイントとしてはですね・・・


〇 贈与した時の金額・評価額がそのまま固定されて相続財産にプラスになる。


・・・ということは、将来的に評価額が上昇すると見込まれる財産を贈与すれば、将来の相続税が圧縮されるということです。
例えば同族法人の株式を、何らかの方法で一時的に価値を下げて、下げたタイミングで贈与してしまう。
そうすれば、相続時に株価が元に戻っていても相続税の課税は低い株価の時のまま。
この点をうまく利用できれば、節税につながりますね。」

相談者I原氏
「センセイ!逆も真なりやから、仮にその法人が相続の時は既に倒産してしもて、
跡形もなくなっとっても、貰った時の評価額を相続財産にのっけんといかんということやろ?」

税理士O田
「そのとおり!相続時に価値が零になっていても、のっけなくてはいけません。
ですので、何を贈与するのかはよくよく見極めないといけませんね。」