現金贈与は税務署にバレないのか?

結論 「即座にバレることはありませんが、後々発覚して問題となる可能性があります。」

質問者A氏
「僕の預金を現金化して、家内に贈与しようと思うんだけど。」

税理士O
「はい。年間110万円以上の贈与を受けた人は、贈与税の申告の義務があります。」

質問者A氏
「でも現金で贈与したら、税務署にはバレないんじゃないの?」

税理士O
「バレなければ申告しなくてもよい、という事ではありませんよね。
確かに単に現金を贈与して、貰った方がそのまま現金で持っていたらそれが即座に税務署に把握されることはないでしょう。
でもこの考えはキケンで、現金預金の贈与の無申告が発覚して問題となるのは、多くの場合贈与のときではなく、贈与した人が亡くなったときの相続税の申告です。」

質問者A氏
「俺が死んで、家内や子供たちが相続税の申告をする時ですか。」

税理士O
「そうです。税務調査に選ばれたら、調査時点から過去10年間分の預金の出入りを調べられます。
Aさん名義はもちろん、奥様やお子様名義の分もチェックされます。」

質問者A氏
「家内や、子供の分も調べられるの?」

税理士O
「もちろんです。場合によっては、お孫さんの分も調べられます。
そこで被相続人の口座から多額の出金があったら、その使い道を事細かく聴かれます。
その時点で問題となって、贈与税の期限後申告をだすとなると無駄な加算税や延滞税の負担が生じます。」

質問者A氏
「家内や子供たちにそんな負担はかけたくないなあ。」

税理士O
「贈与税は相続税の補完税といいまして、生前贈与で財産を分散して、相続税を免れるのを防止するためのしくみです。
ですから、税率も相続税よりも高く設定されています。
しかし、贈与税のしくみをきちんと理解して、うまく活用すれば相続税の節税につながります。
ご家族に負担をかけないためにも、相続税対策を進めていきましょう。」