自宅を妻にプレゼント!したら損する?~贈与税の配偶者控除
☆ 相続の時に揉める可能性がないなら、慌てて贈与すると損するかも知れません。
相談者I川氏
「センセイ、嫁さんと結婚してからも遠に20年過ぎとるんやけど。
婚姻後20年経ったら、今住んでいる家土地を嫁さんに贈与しても、2,000万円までは税金かからんのでしょ?」
税理士O田
「そうです。贈与税の配偶者控除の特例といいます。
現在お住いの土地建物か、新居の建築資金を贈与しても贈与税の申告書を提出すれば2,000万円が控除できる特例です。
暦年贈与の基礎控除110万円との併用で、2,110万円までは無税で贈与できます。」
相談者I川氏
「それは、ええ特例やね~。早よう受けとかな損するんやろか?」
税理士O田
「ええと、I川さんお尋ねするんですけど、将来的にご自宅は例えばお子様に引き継がせるとか、ご予定はあるのですか?」
相談者I川氏
「いいや、子供は二人とも自分の家構えとるけん。
ワシの家も先祖から引継いだもんでもないし、ワシら夫婦があの世へ行ったら売るしかないやろな。」
税理士O田
「I川さん、それならお家の贈与は急がなくてもいいかも知れませんよ。
将来的にI川さんが奥様より先に亡くなられたとして、奥様は相続税の配偶者控除により、1.6億円までは基本的に無税です。
それに、贈与税には限度面積までの8割、土地の評価が圧縮できる小規模宅地の特例はありません。
ですので、今2,000万円税金掛からずに贈与したとしても、実質的に400万円分しか相続財産を
さらに、贈与原因で登記する際の登録免許税(国税)は相続原因の登記の5倍かかります。
不動産取得税(都道府県民税)については相続の時なら非課税になります。
なので、お家を奥様に贈与しておかないと、将来的にトラブルになる要因がないのであれば相続の時でよろしいのではないでしょうか。」
相談者I川氏
「そうですか~
なんじゃらかんじゃらあって、贈与税の配偶者控除は断然お得!というもんでもないんやね。」
税理士O田
「メリットもあります。まずはですね・・・
メリットその1
相続時のもめ事の事前防止の効果
・・・があります。
これは2019年7月から、婚姻20年以上の夫婦で自宅の権利の生前贈与があった場合、
”贈与から相続開始までの期間に関係なく、遺留分の基礎となる財産に入れなくていいよ”
ということに法改正があったからです。
配偶者の権利が、より守られることになったという訳です。
次にですね・・・
メリットその2
配偶者の将来の安心が得られる効果
・・・がありますね。」
相談者I川氏
「そうそう、ワシも自分が居なくなった後の嫁さんの生活が心配なだけなんよ。
そのためやったら、少々のお金は掛かっても構わんと思うとる。」
税理士O田
「そうですか!奥様の将来の安心を重視されるなら、この特例はI川さんにはとても良い特例ですね。
ご自宅を贈与することで安心という良い感情が得られて、健康増進にも効果絶大かも知れませんね。」