相続時精算課税制度の最大の特徴 ~ 相続税贈与税の特例

相続時精算課税制度の最大の特徴それは、

贈与時点でその財産の評価額が固定化されること です。

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制度の概要

相続時精算課税制度とは、直系尊属(実の父母、実の祖父母)からの贈与について、
贈与を受ける人が選択して適用される制度で、

「お父さん(おじいちゃん)からの贈与については、今後は相続時精算課税を選択します。」

と、贈与を受けた子(孫)が宣言して贈与税の申告書を提出すると、
その後なにが起ころうともお父さん(おじいちゃん)からの贈与については
暦年課税贈与のに後戻りはできなくなるというものです。

暦年贈与の申告はできなくなりますが、
相続時精算課税を選択することにより2500万円の控除の枠が与えられます。

2500万円を超えて贈与を受けた場合または、
累積課税価格が2500万円を超えた場合には、
一律に20パーセントの税率が適用されます。

そして、将来的に贈与をしたお父さん(おじいちゃん)が天国に召されたときに、
制度の文字のとおり相続時精算課税を選択後の贈与財産はみなし相続財産として、
相続開始時点の相続財産に上乗せされて相続税が課税される
というしくみです。

もし、相続時精算課税で贈与税の納税をしていた場合には、この相続税を申告する際に精算されます。
暦年課税と相続時精算課税との相続時点での課税財産の相違イメージは以下のとおりです。

暦年贈与の相続財産への加算については、令和6年から令和13年にかけて3年から7年に順次延長されます。

相続時精算課税贈与については令和6年分から2500万円の特別控除のとは別に、毎年110万円の基礎控除ができるようになります。

これまでは相続時精算課税贈与の場合、たとえ1万円の贈与でも申告の必要がありましたが、毎年110万円までの贈与であれば申告書の提出の必要がなくなります。

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つまり、精算課税の適用を受けている推定相続人に相続税がかからない場合、
もしくは相続税額よりも贈与税額のほうが多かった場合
には、その納め過ぎの贈与税額は還付を受けることができるのです。

将来の課税時点で上昇していれば得をし、下落していれば損をする

精算課税制度を利用して贈与された財産は、贈与の時点で評価額が確定されます。

ですので、

贈与時点の評価額 < 相続開始時点の評価額 ・・・ 評価差額分の相続税額負担を免れた
贈与時点の評価額 > 相続開始時点の評価額 ・・・ 評価差額分の相続税額余計に負担

ということになります。
精算課税を利用するのであれば、
贈与時点から相続開始推定時点を見据えて
価格上昇が見込める財産を贈与したほうが節税効果が期待できる
ということになります。

収益物件の贈与は有効

親が所有する賃貸物件を贈与するのは相続税対策には有効です。

たとえば、郊外型の大型店舗の駐車場用地として土地を賃貸しているような場合です。

かかる費用は固定資産税くらいで、毎年の賃料収入で親の財産はふくらむばかりですから、その収入のもととなっている土地を子に贈与すれば、その分は財産のふくらむのを抑制する効果があります。

平成27年(2015年)の税制改正で、相続税の基礎控除が引き下げられて、その課税対象が大幅に拡張されました。
相続税と贈与税との一体化論によりその増税のながれは一層強まってくるようですね。

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※記事の内容は更新日現在の法令にもとづいて作成しています。実際の申告書作成等にあたっての、特例適用などにつきましてはよくよくご確認、ご検討をお願いいたします。