相続税の死亡生命保険金の非課税金額の計算 相続放棄があった場合
被相続人が保険料を負担し、被相続人の死亡原因により、相続人が生命保険金を受け取った場合、
法定相続人の数 × 500万円 = 死亡生命保険金の非課税となる金額
ここまでの金額については、相続税は非課税とされています。
例えば、相続人が妻と子で、被相続人の兄弟が生命保険金の受取人に指定されているとします。
この妻と子が正式に相続放棄の手続きを取った場合、この非課税枠は零なのでしょうか?
放棄がなかったものとしてカウントする
相談者K林氏「先生~財産より借金が多い人が死んで、その嫁さんと子供は相続放棄しとんや。」
税理士O田「なるほど、それではその亡くなった方のご両親はご健在なのですか?」
相談者K林氏「二人とも先に亡くなっとる。ほんで、死んだ人には弟さんが一人おるんや。
ほんで、この弟さんが死亡生命保険金の受取人になっとったんや。
死んだ人が、弟には世話になったけん言うて4000万円くらい保険金おりるらしいんや。」
税理士O田「なるほどなるほど、じゃその弟さんがその保険金で借金を返すということですか?」
相談者K林氏「そうなんじゃ。先生この場合って、相続税の申告はどなんなるんな?」
税理士O田「それはですね・・・
- 相続税の基礎控除は相続放棄がなかったものとして計算する。(相続税法§15②、同§16)
- 死亡生命保険金の非課税金額は相続放棄がなっかったものとして計算する。(相続税法§12①五)
・・・基礎控除も生命保険金の非課税枠も相続放棄がなかった場合と同じ金額という扱いをします。
それから相続放棄の効果ですが・・・
- 相続を放棄した者は、最初から相続人ではなかった事になる。
- 同順位の相続権を持つ相続人すべてが相続放棄した場合、次順位の相続人が相続人となる。
例えば、相続人が配偶者と子ひとりだったとしましょう。
配偶者が相続放棄したら、子ひとりだけが相続人ということになります。
なので、その子の法定相続分は1分の1です。
次に、その子も相続放棄した場合は、被相続人の直系尊属が相続人になります。
さらに、その直系尊属も死亡などにより不存在となると、被相続人のご兄弟が相続人となります。
兄弟でも相続人であれば非課税枠を使える
ですので、K林さんのケースですと相続税の基礎控除は
3000万円 + 600万円 × 2名 = 4200万円
生命保険金の非課税は
500万円 × 2名 = 1000万円
ということになります。
ただし、生命保険金の非課税の枠は相続人でなければ使えません。
「今回の場合被相続人の弟さんが、被相続人の奥さんお子さんの相続放棄により、相続人になりますのでその枠が使えるという訳です。」
相談者K林氏「なるほど。よく分かりました。ありがとうございました。」