借地権の評価~(個人間で)無償で貸付られている土地~相続税の土地評価

親御さんの土地に子供さんが自宅を建てる~よくある話ですよね。
その際の、子供さんの借地権については、相続税贈与税の課税上どう位置付けされているのでしょうか。


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使用貸借による土地の借受けがあった場合

相談者F家氏「センセイ~今度長男が新築することになっての。
ワシの持っとる土地に建てさそうかと思うとるんよ。」

税理士O田「それはおめでとうございます!いつでもお孫さんに会えますね!」

相談者F家氏「ほんでの、長男が家建てたら、その土地の評価はどうなるんな?
家建てること自体、贈与になったりはせんのな?」

税理士O田「あっ、いいところにお気づきですね。
ちなみに、長男さんから地代は受取るご予定ですか?」

相談者F家氏「いらんけど・・まあ、固定資産税の分ぐらいは出してもらおうかの。」

税理士O田「なるほど。そうしますと、無償か固定資産税額程度の地代しか受け取らない場合、
長男さんは、使用貸借により土地を借り受けたことになります。
その取扱いの通達によるとですね・・・


建物の所有を目的として、使用貸借による土地の借受けがあった場合においては、
借地権の設定に際し、その設定の対価として通常権利金等を支払う取引上の慣行がある地域においても、
使用貸借にかかる使用権の価額は、零として取り扱う。


とされています。
なので、長男さんは家を建てても、その底地に対しては何らの権利を持たないという事になります。」

相談者F家氏「そうですか。じゃあ、息子が借地権の贈与を受けた事にはならんという訳やね。
ほんで土地の持ち主のワシから見ると、土地の上に建物はあっても権利は乗っとらんという事になる訳か。」

税理士O田「その通り。建物が建っても、底地は”自用地”のままということになります。
ちなみにこの通達が発遣される昭和48年11月1日より前はですね・・・

かつては、使用貸借でも借地権を認識して課税されていた

そうです。
つまり、新築した人に税務署からお尋ねを送って、底地が家を建てた人以外の人だったら、
その人が借地権の贈与を受けたと認定して、贈与税の申告を取っていたそうです。
つまり、新築した人が借地権を持ったという事ですね。」

相談者F家氏「じゃあ、その時に贈与税の申告をした人は、借地権を持っとると。
底地持っとる人の土地は、借地権付きの土地いうことやね。」

税理士O田「そうです!ですので、昭和48年10月31日以前に自分の土地に新築させて、
以降使用貸借で土地を貸している方の土地は、自用地ではなく貸地である可能性が高いということですね。」

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