株式売買事例:非上場同族会社の評価法
非上場会社(同族会社)の株式を売買する際の時価の決定方法について事例でご説明します。

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同族法人の株式(非上場株式)の時価の算定
【事例】
株主Cが保有する甲株式会社株式を
【1】個人(株主B)が買取る場合
【2】法人(甲株式会社)が買取る場合
時価の算定について教えてください。
- 評価対象法人 甲株式会社
- 資本金 2,000万円
- 発行済み株式数 2,000株
- 株主A 200株 10%(先代社長・取締役)
- 株主B 900株 45%(現社長・株主Bの子・取締役)
- 株主C 900株 45%(株主Bの実兄の妻)
- ※株主Cの夫(株主Bの兄)は10年前に死亡している
- ※株主Cは夫の相続トラブル以降、会社運営に関与していない
【1】個人が買取る場合(個人→個人)
時価の認識
時価 = 財産評価基本通達に基づく相続税評価額
課税関係
譲渡価格 | 譲渡者・株主Cの課税 | 譲受者・株主Bの課税 |
時価の二分の一以上 | 【所得税】 ・実際の譲渡対価を収入金額 | 【贈与税】 ・実際の譲渡対価と相続税評価額との差額が贈与とみなされる(相§7) |
時価の二分の一未満 | 【所得税】 ・実際の譲渡対価を収入金額 ・譲渡損はなかったものとされる | 【贈与税】 ・実際の譲渡対価と相続税評価額との差額が贈与とみなされる(相§7) |
【2】法人が買取る場合(個人→法人)
時価の認識
時価 = 財産評価基本通達に基づく相続税評価額を基本として、つぎの項目の修正を加えた額
- 譲渡者が当該株式の発行会社にとって「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に「小会社」に該当するものとして評価を行う
- 上記1.で「小会社」とあるのは「純資産価額方式」を原則として選択的に「類似業種比準方式と純資産雅楽方式との併用方式」による算定方法によることとするもので、類似業種比準価額を算出する計算において類事業種の株価等の乗ずるしんしゃく割合を小会社の「0.5」とするものではない
- 法人の所有する土地、上場されている有価証券については株式の譲渡時点における時価相当額により評価を行う(土地については、公示価格水準額により、上場有価証券については相続税評価(当日、当月、前月、前々月の終値のうち最も低い額)ではなく譲渡当日の終値)
- 評価差額(簿価額と相続税評価額)に対する法人税額相当額の控除はしない
課税関係
譲渡価格 | 譲渡者・株主Cの課税 | 譲受者・㈱甲の課税 |
時価の二分の一以上 | 【所得税】 ・実際の譲渡対価を収入金額 | 【法人税】 ・実際の譲渡対価と時価との差額は受贈益(法§22②) |
時価の二分の一未満 | 【所得税】☆みなし譲渡課税 ・時価相当額が収入金額とみなされる | 【法人税】 ・実際の譲渡対価と時価との差額は受贈益(法§22②) |
【出典】
財産評価基本通達179、188
所得税基本通達59-6
法人税基本通達4-1-6
資産課税課情報第22号令和2.9.30
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【相続税専門】税理士 岡田隆行
国税局・税務署での32年間の資産税(相続税・贈与税)事務の経験を活かし、相続税に関する困りごとの解消に尽力します。
事務所は高松市国分寺町、趣味は料理とバイクです。
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