相続税の債務控除~要らないものはさっさと片付けよう~断捨離相続対策
必要のないものを片付けることは、結果として節税につながります。
☞ 相続税の計算~遺産分割協議が整う前に二次相続が開始~残された相続人がひとりだったら?
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財産性のないものの片付け
片付けよう、片付けようといつも思いながらついついそのままになってしまっていることってありませんか。
私はあります。どんどんたまっていくお仕事の書類をどうかたづけようかとか、ほんとうにいろいろ数え上げるときりがないくらい片付いていないことはたくさんあります。
生きている限り、すべての問題が解消されてしまうことはないと思い込んで、なるべく悩みにしないようにはしていますが。相続税対策においては、片付けは重要です。
片づけておくべきもの
たとえば、先代が昔住んでいた古ーい建物。
もう何十年も人が住んでいなくて、使ってもいないと
建物は傷んでリフォームもできない。
けれども、取り壊すのには相当のお金がかかるし、
壊したら、固定資産税の住宅地特例からも外れるから
維持費もかさんでしまうからなかなか取り壊しに踏み切れないでそのままになっている物件。
跡継ぎは都会や、市街地に移り住んでいて田舎に残っているこうした物件はかなりの数に上るのではないでしょうか。
放置しておいた場合との相続税の比較
それでは、この古ーい建物を放置しておいた場合と片づけた場合に、その所有者に相続が開始した場合の比較をしてみましょう。
次の設定で比較してみます。金額は仮定のものです。
- 家屋の固定資産税評価額 \50,000
- 家屋の取り壊し費用 \3,000,000
- 家屋の敷地の相続税評価額 \10,000,000
そのまま放置した場合 | 片づけた場合 (片づけの契約をした後相続開始した場合) | 差額 | |
相続する財産 | 土地 \10,000,000 家屋 \50,000 現金 \3,000,000 | 土地 \10,000,000 家屋 \0(\50,000) 現金 \0(\3,000,000) | 土地 \0 家屋 △\50,000 現金 △\3,000,000(\0) |
引継ぐ債務 | 取壊し費用 (\0) | 取壊し費用 (△\3,000,000) | 取壊し費用 (\3,000,000) |
差引計 | \13,500,000 | \10,000,000(\10,050,000) | \3,500,000(\3,550,000) |
家屋を取壊しした場合、相続財産が\3,500,000(\3,550,000)減額されることになります。
相続税のいちばん低い税率は10パーセントですので、少なくとも\350,000(\355,000)の節税になります。
いや、ちょっと待って、取り壊し費用が\3,000,000かかっているじゃないですか、とおっしゃるかもしれません。
ごもっともです。\3,000,000出して、\350,000の節税では割に合わないと思われることでしょう。
もちろんこれは例示であり、その土地の所在、環境にも大きく左右されるものであることはお断りしておかなければなりません。
ただ、その土地がある程度の価値があって、条件によっては買い手がつくような物件だった場合、この片づけはやっておく価値があると思います。
いずれ、取り壊さなければならないものであるのならなおさらです。いずれ必要になる費用ならば、さっさと出しておきましょう。
もし、片づけに着手しないまま、相続が開始してしまった場合
- 家屋に課税される
- 取壊しに必要な現金に課税される。
- 取壊してもしなくても、土地の評価額は同じ
課税された後の現金から、取壊し費用を捻出しなければならないという、なんとももったいないことになりかねません。
また、3についても影響は大きいものと思われます。
通常、誰が考えても土地の上に廃屋があれば、その廃屋の取壊し代の分その土地の売買価格は低くなります。
ところが、おどろいたことに相続税評価の場合、基本的に評価額は同一になります。 ☞ いらないものがあっても評価額は同額
まとめ
放置しておいたものを思い切ってかたづけると、思わぬ節税になるばかりではなく、気持ちの面でも整理がついて、日々を健やかに過ごせるようになると思います。ぜひ実践してみてください。
※記事の内容は更新日現在の法令にもとづいて作成しています。実際の特例適用等に関してはよくよくご確認、ご検討をお願いいたします。