相続税の土地評価~夫に土地を賃貸していたら借地権はどうなる?~夫婦間の土地賃貸

奥さんが所有する土地を旦那さんが賃貸借して、その土地上に賃貸アパートを建てて貸家として利用しています。

  • 夫婦は同居していますが、住民票上夫婦の世帯を別々にしています。
  • 旦那さんは奥さんに地代を支払い、これを不動産所得の計算上経費に計上してきました。
  • 奥さんは受取った地代を不動産所得として申告してきました。
  • このたび旦那さんに相続が発生しました。

夫婦間の賃貸であっても、旦那さんは借地権者だから、旦那さんの借地権は相続財産となるのでしょうか。

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いらすとや

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所得税(不動産所得)の課税関係

相談者F田氏「夫婦間で土地を貸し借りして、所得税の申告している人なのですが。こんな場合、所得税の申告はどうなるの?」

O田税理士「そうですね、民法上夫婦は同居して協力してお互いに扶助する関係にあるとされていますから、夫婦は同一生計だというのが前提となりますね。たとえ、住民登録上の形式だけ別世帯としたとしても、この夫婦の相互扶助の関係がなくなるということはありません。それから不動産所得税の申告についてですが・・・


  • 旦那さんが奥さんに対して、自分の不動産所得にかかる地代や家賃を支払っていても、旦那さんの不動産所得の必要経費に算入できない。
  • 受取った地代や家賃は、奥さんの不動産所得にはならない。
  • 奥さんが負担している奥さん名義の土地に関する経費(固定資産税等)は、旦那さんの不動産所得の必要経費となる。

というルールになっています。旦那さんが奥さんに支払った地代はなかったとみなされますので、反対に奥さんも地代は受取っていないとみなされてしまします。そして、奥さんが支払っている固定資産税などの土地の維持費は旦那さんの不動産所得の必要経費になるということになりますね。」

相談者F田氏「形だけ別世帯にしても、夫婦の関係では別にならんということか。旦那さんの借地権の認識はどうなるの?」

地代を支払っているから借地権の認識があったと考える

O田税理士「はい、旦那さんは地代を支払って土地を賃借して、その土地に堅固な建物を建てている訳ですから、旦那さんは借地権者だということになりますね。ということは、もしこの借地権の対価が無償であった場合、旦那さんに借地権が帰属した時点で奥さんから旦那さんに借地権の贈与があったということになります。」

奥さん →(借地権/無償移転)→ 旦那さん = 贈与税課税対象

相談者F田氏「奥さんの所得税の課税上はなかったことになっても、借地権の認識はされるの?」

O田税理士「そうです。借地権の帰属と、所得税の制度とは分けて考える必要があります。今回は旦那さんに相続が開始していますから、この借地権は旦那さんの相続財産ということになります。」

地代の支払いがない場合

一般的には夫婦間や親子間で土地を賃貸借(地代の授受がある)していることはあまりないと思われます。

土地が無償で貸借されている場合(使用貸借の場合)には、使用貸借通達により借地権が認識されることはありません。

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