相続税申告書作成~相続財産の把握~現金預貯金編

相続税の申告にあたり相続財産をどう把握するかまとめていきたいと思います。

まずは、現金預貯金から。

現金の把握は難しい

相続財産の確認を始めるのは、早くても49日(満中陰)の法要が終わったあとになることがほとんどでしょう。

しかし、相続財産としての現金は相続開始時点で現金がいくらあったかですので、時間が経過すればするほど正確な金額の確認が難しくなっていきます。

正確な答えはないけど、より正確そうな数字を把握しなければいけません。

故人様の財産管理を、奥様がしていた場合は何の問題にもならないと思いますが。

まずは、故人様が日常使っていた財布、自宅の金庫、金融機関の貸金庫の確認をする。

次に、預金通帳もしくは金融機関の取引履歴から相続開始日に近い日の出金を確認する。

もし大口の出金があったら、相続開始までに何かに使っていないか確認する。

それらの結果から合理的に現金がいくら残っていたか、算出するほかありませんよね。

預貯金通帳の確認

まずは、相続開始日の残高をリストアップします。

あまり取引がない金融機関の通帳については、ずっと記帳がされていないものがあるかも知れません。

公的年金の受取り、生活費の支出、公共料金の引落しなどがされている主要な口座を確認します。

高額な入出金、相続開始直前の出金、相続開始後の出金がないか確認します。

取引金融機関で、相続開始時点の残高証明書を取得します。

その時に併せて、特に主要な取引金融機関については、取引履歴の復元を依頼しましょう。

短くとも3年間。5年間以上になると金融機関の手数料が高くなる傾向があるようですが、現時点から最長10年間の復元が可能です。

過去の特に大口の出金を把握して、その使い道をはっきりさせれば、見落としていた相続財産の把握にも繋がるかも知れません。

その上、相続税調査の対策にも役立ちます。

また、定期預金については、相続開始日の解約利息を備考欄に記載してもらうと申告書の作成がスムーズに進みます。

ゆうちょ銀行では、「現況調査」を依頼して貯金、国債、投資信託の取引の有無を確認しましょう。

相続税の調査対象としてチェックされることが多い、家族名義預金の有無について確認しましょう。

奥様、子供様、お孫様名義の預貯金の通帳の管理を実際に故人様がしていたような場合は、確実に名義預金と判断されてしまいます。

名義預金の帰属の判断については、またお話したいと思います。