相続税が2割増しに!~生命保険の受取人を孫にしている場合

亡くなった際に支払われる、死亡生命保険金の受取人をお孫さんにしていませんか。

かわいい孫に、最後のプレゼントを残してやりたいというお気持ちの表れとは思います。
そのお気持ちはよく分かり、お孫さんも喜ぶでしょう。
「おじいちゃん、おばあちゃんありがとう!」

でも、せっかくお孫さんに保険金が入っても、その保険金は相続税の対象となります。
その相続税の課税関係と課税上のデメリットについてご説明します。

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孫は相続税額が2割増しになる

お孫さんを死亡生命保険金の受取人に指定していた場合、お孫さんは亡くなった方から遺贈により生命保険金を受け取ることとなります。

ここでご注意いただきたいのは、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者が相続・遺贈により財産を取得した場合、相続税額が2割増しにされるということです。

これは、税額が同じならひと世代相続を飛ばしてしまおうという節税行為を抑止するためです。

さらに、お孫さんは相続人ではありませんので、生命保険の非課税枠(相続人の数 × 500万円)が使えませんので、その点についても不利と言えます。

※被相続人の子、親のことです。

孫への贈与も相続税に加算される

先述のとおり、孫を生命保険の受取人にしている場合、孫は遺贈(遺言により遺産を贈る)により生命保険金という財産(みなし財産)を取得したこととなります。

その場合生命保険金を受け取った孫は、相続によって財産を取得した法定相続人と同様、一定期間の生前贈与財産について相続財産に加算しなくてはなりません。

生前に贈与した財産も相続財産に追加されて、さらにその税額も2割増しにされます。往復ビンタとはこのことですね。

※相続開始の日より以前3年間、令和6年1月1日以降の贈与から順次7年間にまで延長

孫が受取人でも2割加算の対象にならないケース

お孫さんが生命保険の受取人でも、2割加算の対象にならないケースがあります。

それは、お孫さんの親すなわち被相続人のお子さんが先に亡くなっている、又は相続権を失っているケースです。

このケースでは、お孫さんがお子さんの代襲相続人となっていますので、相続税の加算の対象にはなりません

また、代襲相続人となったお孫さんは相続人ですから、生命保険の非課税枠についてもその対象となります。

保険金の受取人を変更した場合

孫を受取人にしていると、相続税の課税が2割増しになってしまうのなら、受取人を子に変更しようかとお考えではないでしょうか。

その場合に税金はどうなるのか?

受取人を変更しただけでは、課税関係は発生しませんのでご安心ください。

ただし、子どもが複数名いる場合には、誰を受取人にするかで子供同士の関係性が悪くなる可能性は否めません。受取人を誰にするかはよく検討する必要があります。


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