贈与税の対象になるの?~生命保険契約の契約者変更
よくあるはなしですが、子供が生まれたので親もしくはおじいちゃんおばあちゃんが、子・孫のために保険を掛けてやっていた。(契約者、保険料負担者は親もしくはおじいちゃんおばあちゃん)
その子・孫が成長したので、その子らに保険の契約者を変更しようかのう・・・という場面があります。
さて、契約者の変更は贈与税の課税対象になるのでしょうか?
契約者を変更した時点においては贈与税の課税対象にはなりません。
☞ 贈与税課税の判断 生命保険契約と損害保険契約の掛金負担 保険事故が未発生
☞ 生命保険金の課税関係をまとめたページは こちら です。
相談者A野氏
「先生、ちょっと教えて。今度ワシから長男に生命保険の契約者を変えようと思うとるんやけど、何か税金の対象になったりするんな?」
税理士O田
「なるほど。ちなみに被保険者はどなたの保険なのですか?」
相談者A野氏
「被保険者は長男や。長男が子供のときからずっとワシが掛けてやっとった保険なんよ。
長男がもう自分で保険料を出す言うけん、契約者を変えようか思うて。」
税理士O田
「そうですか。じゃあこれからはご長男が保険料を負担してゆくわけですね。
まず、保険契約者を変更しただけでは、課税はされません。課税されるのはですね・・・
☞ 契約者となったご長男が、保険契約を解約して解約返戻金を受取った。
・・・場合ですね。
この場合の解約返戻金のうち、A野さんが保険料を負担していた部分については
”ご長男がA野さんから解約返戻金相当額を贈与してもらった”
と判断されます。
ですので、解約返戻金が110万円を超えているとご長男は贈与税の申告書を提出しなければいけません。
次に考えられるのは・・・
☞ A野さんが死亡した。
・・・場合ですね。
この場合、
”A野さんが負担していた保険料部分の生命保険に関する権利を、ご長男が相続した”
と判断されます。
ですので、相続開始時点の解約返戻金相当額のうち、A野さんが保険料を負担していた部分について、相続税の対象になります。」
相談者A野氏
「なーるほど。そうなんですか。
でもそれ、契約者変更してから何年も経って、長男が相続税の申告する時に、ワシが保険金掛けとったこと自体忘れとったりしたらどうなるん?
申告漏れになってしまう可能性大なんちゃう?」
税理士O田
「そうです!保険料の負担者は生命保険の契約内容からは確認が出来ませんし、保険会社が連絡してくれる訳でもありません。ですので、相続人自体に全く認識なく申告漏れになるケースは非常に多いですね。」
相談者A野氏
「契約者変えてもすぐに税務署は来んけど、あとで申告せないかん場合が出てくるいうことやね。
よく分かった。先生ありがとう。」