遺言は絶対優先されるのか?~遺言の内容と異なる遺産分割協議と贈与税
共同相続人間で遺産分割協議を行い、それに基づいて財産を取得するなら贈与税は課税されません。
相談者I原氏
「先生、この頃民法が改正されて遺言の制度が変わった言いよるけど、大きく変わったんはどんなとこなん?」
税理士O田
「そうですね、大きく変わったのは・・・
① 自筆証書遺言の目録部分が、自筆でなくてもよくなった。
② 法務局に自筆証書遺言を預けられる制度ができた。
ということです。
将来的にはですけど、遺言書を法務局に預けておけば、遺言者死亡の連絡が法務局に届いて、
相続人全員に”遺言書が保管されていますよ”という通知がされるようになるようです。」
相談者I原氏
「ほうな~なるほど。ところで、遺言書って正式なもの作っとったら、その内容の通りに財産を分けないかんもんなん?
たとえば、遺言で”財産は全て長男に相続させる”とかいう内容やったら、その通りにせんといかんの?」
税理士O田
「絶対ではありません。
まず、遺留分という一定割合の財産を取得する権利が一定の相続人には認められています。
それから、相続人全員で遺言書と異なる遺産分割協議を行えば、その内容で分割することが可能です。
長男はその遺贈された立場を放棄して、改めて遺産分割協議をするということです。
ここで注意して頂きたいのが、長男が遺言に従い一度相続した財産を、他の相続人に分けてしまうと贈与税の対象になってしまいます。
ですが、最初からきちんと遺産分割協議をしてそのとおり分けるのであれば贈与税の問題はありません。」
相談者I原氏
「なるほど、相続人全員で話し合いがつけばそっちで分けてもOKということやね。」