同族法人に対する役員貸付金 ~ 回収見込みがなくても相続財産
同族法人の役員借入金は法人から見れば借金、役員から見れば貸付金は財産です。
その役員さんが亡くなれば、貸付金は相続財産になります。
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回収不能でも相続財産に計上
相談者Y内社長「センセイ、うちの会社この頃赤字続きなんやけど。
ワシ会社に貸付金3,000万以上あるやろ?」
税理士O田「そうですね、決算書によると、ちょっとずつ増えていますねえ。」
相談者Y内社長「そうなんよ。ワシももう、ええ年やし会社たたもうかとも思うとるんや。
跡継ぎもおらんけんの。ほんで、今もしワシが死んだらその貸付金って相続財産になるんな?」
税理士O田「そうです。その会社が存続していれば、相続財産に上げなければいけませんね。」
相談者Y内社長「そうやろ。回収の見込みがほとんどないのに財産になってしまうんやなあ。」
税理士O田「そうなんですよ、Y内社長。
過去の判例でも、会社が存続している場合は、貸付金債権が回収不能だとは言い切れません。
なので、相続財産になると判断されることが多いようです。」
相談者Y内社長「センセイ、なんとかならんかいのこの貸付金。
金は返ってこんわ、相続税はかかるわで往復ビンタやがな。」
税理士O田「そうですね。方法はあります。まずはですね・・・
回収が危うい貸付金の放棄
・・・ですね。会社に対して、Y内社長が債権放棄の意思表示をすれば、債券は消滅します。
この場合は、債権放棄通知書や、贈与契約書などを作成しておき正式に放棄した記録を残しておくことが重要です。
それから、債権放棄は会社は借金帳消しですので、その分法人がY内社長から貰ったことになります。
ですので、受贈益として会社の儲けに計上しなければなりません。
さらに、会社の債務が減って純資産の額が増えた分、会社の株価が上昇します。
その価値の増加分は、Y内社長からY内社長以外の株主さんが貰ったことになります。
ですので、会社の財務状況にもよりますが、他の株主さんは、贈与税の申告が必要になる可能性はありますね。」
相談者Y内社長「ナルホド、いろいろあるんやねえ~でも、そういう検討はしとかないかん言うことやねえ。
センセイ他になにか方法はないんな?」
税理士O田「はい、ありますよ。それはですね・・・
貸付金を現物出資して株式と交換する
・・・これはデット・エクイティ・スワップ(DES)と言います。
貸付金を資本に組み入れてしまうと言う事ですね。
会社は借金を棒引いてもらう代わりに、株式を差し出す訳です。
この場合も、放棄の場合と同様に会社は借金の額と、株式の価値との差額は儲けに計上しなければなりません。
また、株価が上昇すればみなし贈与となりますから、Y内社長以外の株主さんは、贈与税の申告が必要になるかも知れません。」
相談者Y内社長「ナルホド~ 何らかの影響はでてくるけど、それも一度きちんと数字にしてみんと何とも言えんわな。
どうしよう、どうしよう言うばっかりで何もせんのに時間ばっかり過ぎてしもて。
センセイ、少々お金かかっても構わんけん、具体的に今の状況で貸付金放棄したらこうなるいうシミュレーションしてみてくれんの?」
税理士O田「承知しました!喜んでやらせていただきます!」