誰が負担したとしても債務控除は可能なのか 相続税の債務控除の可否判定

相続税の債務控除について問題となった相談案件です。

遺言により被相続人の財産を取得することとなった、法定相続人以外の人が負担した被相続人の債務は控除できるのでしょうか。

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遺贈で債務負担

問題点としては、被相続人の財産を遺言により取得した法定相続人以外の者が、相続税の債務控除を受けられるかどうかということでした。

相続税の債務控除の対象となるのは、法定相続人と包括受遺者に限定されています。

☆法定相続人 民法上、相続する権利が認められている者(配偶者、子 → 父母 → 兄弟姉妹 の順で相続権が決まる)

☆包括受遺者 遺贈によって「相続人と同じように、財産の全部または一定の割合を受け継ぐ人

包括遺言の遺言の典型としては、たとえば「遺産の3割を孫の○○に遺贈する」のように、遺贈するのはこの財産という特定をせず、財産の内の何割といった割合を指定している場合を指します。

今回の事例の遺言では

  1. 特定の不動産を、法定相続人のひとりに相続させる
  2. 1.以外の財産から、債務を差引いた残りの財産のすべてを被相続人の兄弟の子に遺贈する

という内容でした。

この遺言を一見すると遺産のうちの一定割合を指定しておらず、包括遺贈ではないように見えます。

しかし遺言者(被相続人)の意向としては、財産も債務も兄弟の子に引継ぐが、一部分だけは法定相続人のひとりに引継ぎたいということは明らかです。

相続税の債務控除の適用が、法定相続人と包括受遺者に限定されているのは、どちらも財産債務をまるっと引継がなければならない権利義務者であるからです。

一方、特定の財産のみの遺贈を受けた者(特定受遺者)は特定された財産を引継ぐのみで、債務履行の義務を引継ぎませんので、相続税の債務控除はできないことときていされているのです。

特定受遺者はNG

仮に特定受遺者が債務を負担したとしても、負担義務がないのに勝手にやったことという捉え方で債務控除の対象とはなりません。

このことを今回の事例にあてはめてみると、法定相続人のひとりが引継ぐ特定財産以外の財産と債務を、兄弟の子はまるっと引継ぐのですから、実質的効果としては包括遺贈と何ら変わるところがありません。

したがいまして、受遺者である被相続人の兄弟の子については、相続税の債務控除が可能であるものと思われます。

【相続税専門】岡田隆行税理士事務所

国税局・税務署での32年間の資産税事務経験を活かし、相続税に関するサポートに尽力します。

事務所は香川県高松市国分寺町、趣味は料理とバイクです。

kaosyashin20241018