相続税の債務控除できるのは制限が ~ 妹がうけとった生命保険金
亡くなった方の借金やお葬式の費用は相続税の計算上、相続税の課税財産から差引くことができます。しかし、差引くことができる人には制限があります。
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子のいる被相続人の兄弟が死亡生命保険金を受け取ったケース
これは事例ですべて仮名です。
ふたりの子持ちの小川さん夫妻が離婚しました。離婚と同時に小川さんの奧さんは、旧姓の高橋に戻りました。ふたりの子供は母親の高橋さんが親権者となり、以前から住んでいた家にそのまま住んでいます。
夫の小川さんの両親はすでに亡くなっており、実家でひとり暮らしをしていました。小川さんの身近な親族といえば、実家と同じ市内に嫁いでいる妹の藤野さんだけです。離婚後小川さんは、あらたな生命保険契約を締結して、藤野さんを生命保険金の受取人に指定しました。
その後、小川さんは酒に溺れるようになり、がんを患い55歳で世を去りました。小川さんが亡くなったことにより、妹の藤野さんは生命保険金500万円を受けとりました。
離婚した高橋さんと、その子供たちはもう何年も顔をあわせておらず、疎遠になっており、お葬式にも参列することはありませんでした。
小川さんのお葬式の費用は、妹の藤野さんがが負担していました。
債務控除ができる人は限定されている
債務控除ができるのは、
- 法定相続人
- 包括受遺者
に限定されています。
事例での法定相続人は、小川さんのふたりのこどもです。妹の藤野さんは法定相続人ではありません。
藤野さんは小川さんの死亡原因により、生命保険金を受けとりますので、みなし遺贈の規定により、他の財産価額にもよりますが相続税の申告が必要になる場合があります。
相続税の申告が必要となる場合、藤野さんは法定相続人ではないことから、生命保険金の非課税枠の適用はありません。
さらに、包括受遺者でもないため、藤野さんが負担したお葬式の費用についても、相続税の計算上差引くことはできません。
また、配偶者でも直系血族でもないので相続税額は2割加算されます。
まとめ
事例には、法定相続人でない妹さんの場合をあげましたが、
兄弟姉妹以外でも、生命保険の非課税適用、相続税額の2割加算、債務等の控除ができないことについては、法定相続人でない孫とか、両親とかでも起こりうるケースです。
相続税は生涯でそう何度も経験するものではありません。できるかぎり税法上、せっかく認められている非課税枠などが上手く適用できるようにしたいものです。