相続財産の把握~現金・預貯金について
相続税の申告書を作成するにあたり、相続人の特定、相続財産の特定は最重要事項です。
そのうち現金預貯金に関する把握はどのようにすすめればよいのでしょうか。
相続税調査においても、現金預貯金は特に申告漏れの多いジャンルですので、その把握のポイントを確認しておきましょう。
相続開始時点の現金の確認は難しい
相談者K岡氏「センセイ~相続の申告書作る時の財産で現金って、どうやって確認するんな?
死んだときにナンボ残っとったなんか、よっぽど几帳面な人以外記録を残してないやろ?」
税理士O田「確かに!おっしゃる通りですK岡さん。
相続税の申告書を作り始めるのって、お亡くなりになってから半年後なんて言うのはざらにありますから、
その時点で亡くなられた直後の正確な現金額を把握するのは至難の業です。
ですので・・・
- 故人様が日常使用の財布の確認
- 銀行で1回に引き出す金額の聴き取り
- 預貯金通帳から、現金出金の確認
- 故人様使用の自宅の金庫の確認
- 故人様の銀行の貸金庫の確認
・・・これらの事実から合理的に算出する他ないでしょうね。」
相談者K岡氏「なるほど・・・まあ、そうやろうなあ。
あと、預貯金についてはどんな感じで把握したらええんな?」
預貯金の残高証明書の発行は必須
税理士O田「そうですね、まずは残っている故人様の通帳の確認から始めます。
年金の受け取りはここ、生活費の支出はここ、公共料金の支出はここといった具合です。
その過程で、相続人様も把握できていない金融機関が見つかったりします。
その他のポイントとしては☟のような感じです。」
- 相続開始前後の高額な入出金の状況を確認する
- 残高証明書の発行を依頼する
- 定期預金については、相続開始時点ででの解約利息の計算を依頼する
- 過去の取引履歴の復元を依頼する(出来れば10年間、短くとも3年間)
- ゆうちょ銀行の場合現況調査を依頼する
相談者K岡氏「ゆうちょ銀行の、現況調査言うのはなんな?」
税理士O田「貯金、国債、投資信託の取引があったかどうか確認してくれるサービスです。
お亡くなりになった日と、調査を依頼した日の調査が可能です。」
相談者K岡氏「過去10年分の取引履歴って、結構前から見るんやねえ~。
これは見とかないかんもんなん?」
税理士O田「銀行で保存されている取引履歴は、現時点から過去10年間分のものだからです。
税務署では、調査対象とされた案件についてですが、短くても過去3年間分の取引は確認しています。
これは怪しいと判断されてしまうと、10年間分復元して確認されます。」
相談者K岡氏「そうなんや!見られとると思うとった方がええんやね。」
税理士O田「そうそう、税務署も今までは郵送で金融機関照会をしていたのですが、これが照会する税務署、受ける金融機関双方にとって相当の事務負担になっていたようです。ですので、近いうちにオンラインで照会をするようになるそうです。
オンラインになったからといって、税務署が無差別に照会できるようになる訳ではありません。
ですが、なんらかの転機であることには違いありません。
マイナンバーの使用も含めて、税務署の金融機関照会がどうあるべきか紆余曲折があるでしょうね。」
相談者K岡氏「なるほど!よく分かりました。センセイありがとう!」