生命保険の保険料の負担者と満期保険金の受取人が異なる場合の贈与税の課税 保険料を贈与していたと主張したら?

生命保険の保険料を負担していた人と、その保険契約が満期になった際の満期保険金の受取人とが別人の場合には、受取人は保険料の負担者から満期保険金をもらったことになりますから、受取人については贈与税の課税対象となります。

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事例
妻A子が契約者、被保険者、(満期保険金の)受取人となっている契約期間10年の生命保険契約がありました。
その保険料は夫B男名義の普通預金口座から毎月引き落としされていました。年間の保険料の合計額は50万円です。
【 保険料50万円/年 × 10年 = 500万円 】

生命保険契約が満期になったので、満期保険金500万円が生命保険会社からA子の口座に振り込まれました。
A子は保険料(掛金)が500万円で満期保険金が500万円だったため、儲けがないから税金はかからないと思って何の申告もしませんでした。

その後A子に税務署から、あなたには贈与税がかかるから申告してくださいと連絡がありました。そこでA子は贈与税の期限後申告書を提出しました。

このケースでは、毎月の保険料がB男の普通預金口座から引き落とされていたので、保険料の負担者はB男だと税務署が認識したということが前提となってA子は贈与税の申告書を提出しています。

500万円の贈与を受けたことによる贈与税額は385,000円になります。

保険料が贈与されていたとしたら

ここで、もし毎月の保険料をB男からA子へ贈与するという贈与契約があったとしたらどうなるのでしょうか。

毎月の保険料が贈与されていたことが事実であるならば、A子は保険料と同額の現金の贈与を受けて、その現金で保険料の負担をしたことになります。保険料の負担者はA子ということです。

そうすれば、保険料の負担者、満期保険金の受取人ともにA子となりますから、受け取った保険金についてはA子の一時所得の対象となります。一時所得の所得金額の計算はつぎのとおりです。

( 受取満期保険金 - 保険料(掛金) - 50万円 )× 1/2

今回のケースにあてはめてみると、

受取満期保険金500万円 - 保険料(掛金)500万円 = 0円

となりますから、所得金額が零円となりますので所得税はかかりません。

税目税額
贈与税385,000円
所得税0円

ただ、事例の場合、期限後申告書を出してしまっています。それは満期保険金の贈与を確かに受けましたと認めていることになります。

いったん贈与を受けましたと認めた事実を覆して、「実は夫婦間に毎月の保険料の贈与契約があったのです」と主張(更正の請求書を提出)しても税務当局がすんなりとそれを認めることはないものと思われます。

妻の普段使いの口座からの引き落とし

毎月の保険料の金額を夫の口座から妻の口座へ振り替えて、妻の口座から保険料が引き落とされていれば、保険料の負担者は妻となり満期保険金は妻の一時所得として所得税の課税対象となっていました。

前提として、夫から妻へ毎月の保険料を贈与するという合意があり、妻の口座が妻の普段使いの口座であることが必要です。

なぜ、妻の口座が普段使いのものである必要がるかというと、たとえ妻名義の口座であってもその口座の支配管理をしているのが夫であった場合、実質的には夫が保険料を負担したものと認定される可能性があるからです。

まとめ

極端な言い方をすると、保険料の引き落とし口座名義だけの違いで、本質的には何も変わらないにもかかわらず満期保険金の課税方法、負担すべき税額が大きく異なってくることになりますので注意が必要です。

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