タダ貸しでも借地権が認識される場合 借地権の相続税評価

個人と個人との間で土地をタダ貸し(使用貸借)している場合、通常はそこに借地権はないものとして取り扱われますが、タダ貸しを始めた時期によっては、借地権があるものとして取り扱われる場合があります。

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通常は借地権を認識しない

親族間、たとえば親子関係で建物所有目的の土地の貸し借りをしている場合、借地人が貸地人へ地代の支払いをしていることはほとんどないと思われます。地代の支払いがない場合の課税上の取り扱いとしては、土地の借主の借地権は認識しないこととなっています。

使用貸借通達~タダ貸しの場合の取扱い規定

地代の支払いのない土地を貸し借りのことを使用貸借といいます。この土地の使用貸借についての課税上の取り扱いをまとめたものが「使用貸借通達」です。この通達は個人間における土地の使用貸借(タダ貸し)をその態様ごとの取り扱いが示されています。

この使用貸借通達が出されたのは昭和48年11月1日で、これにより個人間の建物や構築物の所有を目的とする使用貸借される土地の相続税贈与税の取り扱いが整備されました。

昭和40年1月1日~同42年12月31日 の取り扱い

特別近親者からの自己の居住等建物目的での無償借受の場合

配偶者や子供などの近親者への自己の居住用建物の所有目的での無償借受の場合には「土地の無償使用に関する申出書」の提出があった場合には借地権の認定課税は行っていませんでした。

特別近親者からの貸家等所有目的での無償借受の場合

近親者にタダで貸す場合でも、貸家等に使用する場合には、借地権相当額について贈与税の認定課税が行われていました。

これは、タダで貸し始めた時をとらえて、土地の所有者から借地する人に借地権の贈与があったものとして贈与税がかけられていた時期があったということです。

昭和43年11月25日大阪地裁判決を受けて取り扱いが変更され、昭和43年1月1日以降からは借地権相当額の認定課税は行われなくなりました。

昭和40年1月1日~同42年12月31日の期間に土地の貸し借りを始めた場合には注意が必要です。

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